サービス残業が当たり前と思っている介護士が知っておくべきこと

介護業界は、サービス残業が多い業界だ。人手不足で1人1人のスタッフの仕事量が多いことも問題であるが、業界全体が奉仕の精神を利用してサービス残業を断れない雰囲気づくりをしていることも原因だ。介護士たちは残業について正しい知識を身に付けておくべきである。

大前提として、サービス残業を会社側から指示することは労働基準法を犯す行為であり、指示した者には6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる。持ち帰り残業も同じで、会社側から家でも仕事をするように指示し、それに対して報酬を払わなければ罪に問われる。サービス残業はモラルどうこうの前に犯罪行為なのだ。

違法にも関わらず、介護業界でサービス残業がまかり通っている理由は単純で、誰も申し立てをしないからである。「仕事が遅い自分の責任」「残業代の話を上司にしづらい」という心理的な問題や福祉の世界ならではの心理的ブロックもあり、残業代の請求をできないでいる介護士が多いのだ。この他に介護記録に要する時間も残業に結びつく。介護記録の効率化ができれば、残業がぐっと減らせるという声もある。

残業が生じたら、正しい手続きを経て請求すれば残業代は支払われて当然である。会社側が請求に応じなかったり圧力をかけたりするようなら、労働組合や労働基準監督署に直接相談すると良い。労働組合へは、労働組合のホームページから電話かメールで、匿名で問い合わせができる。相談を受けた労働組合は、会社を調査し、問題ありと判断した場合は指導や是正勧告を行う。何もせずに黙っていては、権力者から良いように搾取されるばかりだ。